大阪府庁舎

7月16日、国の文化審議会は、大阪府庁舎本館を登録有形文化財(建造物)とするよう、文部科学相に答申したそうです。これにより大阪府内の登録有形文化財(建造物)は268カ所、784件になります。
大阪府庁は、本町橋(初代)、江之子島(2代目)を経て、現行の大手前庁舎は3代目になります。1926年竣工の本館は、現行の都道府県庁舎のなかで最も古く、そのため歴史的価値が高く、映画のロケなどが行われることもあります。本館の建設に際し、府は設計図面を賞金8,000円の懸賞で募集、80点以上の応募の中から平林金吾の図面に岡本馨が手を加えたものが選ばれ、両者による設計を改変せずに建設されました。2013年以降に改修されましたが、中央玄関ホールや議場は創建当時の姿を残しています。
鉄筋コンクリート造りで地下1階、地上6階建て。外観は白を基調とし、全体の構成では直線が用いられる一方、窓の周りや玄関ポーチは細密な彫刻で縁取られています。大正時代に流行した「セセッション」と呼ばれる様式を取り入れた、戦前最大規模の庁舎建築として評価されています。
大阪フィルム・カウンシルのおすすめロケ地に登録されているため、テレビや映画の撮影場所として提供を行っていて、映画のロケとして使われた例としては、1989年の「ブラック・レイン」が最初だったと思います。出演はマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアなどで、大阪の街を舞台に日米の刑事たちが協力してヤクザと戦う物語を描いた映画です。劇場映画作品としては松田優作の遺作となりました。
ただ、この当時は、まだ、日本にはフィルム・コミッションが存在しなかったため、本作の大阪ロケはアメリカの制作側が日本側の関係者と直接交渉せざるを得ず、トラブルが多発する事態となったそうで、この問題が、後に大阪が日本初のフィルム・コミッションを発足させるきっかけとなったそうです。
この映画で思い出深いのは、撮影当時、浪人生で予備校に通っていた時、エキストラが大勢募集されているという話が広がって、もう少しで応募しそうになりました。また、監督が、私が大好きなSF映画の不朽の名作「ブレードランナー」を撮ったリドリースコットだったことも私を熱くしました。ちょい役ですが、吉本新喜劇の好きな芸人さんで、「大阪名物パチパチパンチ」でおなじみの島木譲二さんも出演しています。


日本映画では、万城目学の小説を映画化した2011年の「プリンセス・トヨトミ」でも大阪府庁舎本館が使われました。この映画では、大阪国や大阪国総理大臣など、大阪人の私が熱くなるワードが出てきたり、私の好きな空堀商店街が主な舞台となっていることや、映画には出てきませんが、原作では「大阪国議事堂」や、国や大阪府などから大阪国へ送られる資金の受け皿となっているダミー組織の社団法人OJOが入っている「長浜ビル」が、赤煉瓦の東京駅を設計した辰野金吾の作品であることを匂わせており、「辰野金吾の建築の特徴は、何といっても英国フリークラシックの手法に基づく、赤レンガの壁面に白い石材を帯状に幾重も巡らせた立体構成にある」といったように、辰野建築の個性についても詳しく触れられています。ちなみに、「長浜ビル」は、1912年に辰野が建築した大阪教育生命保険(現・opera domaine 高麗橋)がモデルのようです。


小説「プリンセス・トヨトミ」の中でキーワードとして使われている辰野金吾設計の建築は、東京で現存するのは日本銀行本店と復元された東京駅だけで、対して大阪では大阪教育生命保険(現・opera domaine 高麗橋)のほか、中之島にある日本銀行大阪支店や、同じく中之島の大阪市中央公会堂、南海電鉄の浜寺公園駅といった建築物がいまなお現存しています。また、近年、女子人気も高い奈良ホテルや、神戸旧居留地の街並みにピッタリなみなと元町駅(旧・第一銀行神戸支店)、京都文化博物館別館(旧・日本銀行京都支店)など、京阪神エリアには辰野建築が点在しており、関西人には馴染み深い風景になっています。

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