高島屋東別館

百貨店の高島屋は5月に開催された文化審議会の答申を受け、8月2日、所有する高島屋東別館が官報告示により重要文化財に指定されたと発表しました。文化審議会では、「長期に及ぶ幾多の増改築によって成立した戦前期屈指の大規模百貨店建築であり、戦前期の大阪を象徴する商業地区である堺筋の都市景観の形成に寄与している。豊かな装飾を施した細部意匠や平面計画、建築設備、防火対策を入念に施す等、創建時の特徴が残されており、近代における百貨店建築の大規模化の過程を知るうえで貴重な建物。また、百貨店建築の設計に長けた建築家である鈴木禎次の代表作の一つとしても重要だ」と評価しています。
高島屋東別館は1928年に松阪屋大阪店として建築され、1937年まで3期にわたって増築が行われました。1966年に松坂屋大阪店が天満橋に移転し、2年後の1968年から高島屋が東別館として引き継ぎました。設計は鈴木禎次です。
建物全体は古典様式にアール・デコ調の装飾デザインが取り入れられ、特に堺筋に沿って続く11連アーチのアーケードや所どころに施されたアカンサスの葉をモチーフにしたテラコッタの装飾、内部のエレベーターや階段まわりの細やかな装飾など、昭和初期の百貨店時代の設備が内部に多数残っている希少建築物として、2013年には大阪市より「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」に選定されたほか、2019年3月には国の有形文化財にも登録されました。2020年にはリニューアル工事が完了し、高島屋史料館や宿泊施設、フードホールが入る複合商業施設となっています。とくにアーケードは、2階分の高さを有し、堺筋に面して約67mの長さで設けられていて、内側には細やかな装飾を施したショーウィンドウが並び、柱梁に黒大理石を張り、床は三色のテラゾー仕上げの壮麗な歩廊になっています。また、南北の大階段(1階)は、親柱に装飾された照明とともにデザインが施され、エレベーターは黒大理石で縁取るとともに欄間や柱飾りにホワイトブロンズを配していて、大階段、エレベーターホールともに黄色大理石が多く用いられ、豪奢な空間になっています。
高島屋は、これまでも保有資産の有効活用に向けて同館をリノベーションしていて、世界展開するサービスレジデンス「シタディーンなんば大阪」を誘致するなど、館の収益性向上に努めるとともに、高島屋史料館をリニューアルオープンし、同社の基本的価値観や文化発信機能の強化を図っていますが、2020年7月10日には、飲食施設「コミュニティー フードホール 大阪・日本橋」をオープンしました。
この「コミュニティー フードホール 大阪・日本橋」には、大阪初出店となる京都・伏見の「伏水酒蔵小路(ふしみさかぐらこうじ)」、同施設の開業に合わせ難波・大国町から本店を移転させる手打ちそばの「NEXT 黒豆蕎麦hanako」など、ターゲットとなる近隣のビジネスワーカーをはじめ国内外からの観光客の利用など幅広いシーンに対応する食にこだわった10店舗を常設しています。共有の飲食スペースにはタテ約3m×ヨコ約5m 巨大な壁面を設け、昼は著名な絵画、夜は月や宇宙をモチーフにした「プロジェクションマッピング」を投映。音楽ライブ、マジック芸などを日替わりで実施し、食のまち・大阪ミナミにふさわしい「食事」と「エンターテイメント」を融合した魅力あふれる憩いの空間が提供されています。

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