認知行動療法

1963年7月 に国立医療機関として初のアルコール専門病棟を設立した独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターでは、アルコール関連疾患や精神神経疾患の病態の解明や、その予防と治療の開発を目的として臨床研究部が設置されています。そこでは、新久里浜方式と呼ばれる認知行動療法のセンター独自のプログラムを開発し、初回治療後1年間の断酒成功率は約50%という成績が報告されています。

認知行動療法とは、ロサンゼルスのマトリックス・インスティチュートで開発され、国際的にも有効性が示されている包括的な物質依存治療プログラムで、誤った認識・陥りがちな思考パターンの癖を、客観的でよりよい方向へと修正する治療法です。それまでの行動療法が対症療法的で、個人の経験や葛藤を考慮していないために再発や別の症状が出るという批判があり、最近ではこの認知行動療法を採用している病院が多いそうです。

例えば、避けたがっている問題とあえて向き合うことで徐々にトラウマに慣れさせる、悲しみを外に出し、心を癒すことで気持ちの安定を得るなどの方法を組みあわせることで、精神的な苦痛と、それに伴う身体的な症状を改善していく。現在、この認知行動療法は、鬱、PTSD、パニック障害、解離性障害、複雑性悲嘆、強迫神経症など、多種多様な精神的疾患で、その高い効果が報告されています。しかし、疾患の種類や症状の重さによっては、トラウマへの介入・想起により強い苦痛や葛藤を伴い、場合によっては悪化することもあるため、患者の状態を判断して治療することが重要です。

治療の進め方としては、現在、病院では患者に無理がないように時間をかけて、徐々に問題と向き合う方法が主に行われていますが、逆に短期間に問題と向き合うショック療法的な認知行動療法もあります。この療法では、症状が出ることとなった精神的な根本要因にまでさかのぼって問題と向き合うため、記述や口述などによる、当事者の過去の想起や暴露が必要となる。そのために認知行動療法の中でも、特に暴露法が取り上げられます。

行動療法と認知療法とは切り離せないものと考えられており、今ではこの二つを合わせた「認知行動療法」と呼ばれるようになっています。「認知行動療法」という呼び名が最初に現れたのは、アメリカ出身の心理学者であるドナルド・マイケンバウムが1985年に発表した「ストレス免疫訓練(Stress Inoculation Training)」という著作のタイトルからです。行動療法では認知や感情も行動の一部であるという解釈があり、認知療法のアルバート・エリスやアーロン・ベックは積極的に行動療法的な技法を取り込んで発展させて行いました。そのため、次第にこの両者は統合あるいは折衷されていくことになります。

では、この認知行動療法を利用した久里浜医療センターのアルコール依存症の治療プログラムについて一つ一つ私なりの考えを述べていきたいと思います。

1 依存症の自己診断(依存症について理解しましょう)

これについて、私は100%認めています。それは4回にのぼるアルコール専門病棟への入院。そこでの学習。精神依存や身体依存の自己判断。離脱症状(禁断症状)の客観的な分析によって結論づけました。私はうつ病と共にアルコールを含む依存性薬物の依存症です。アルコールだけに限らず、私は手に入る意識を変容させるものは全て利用してきました。

2 飲酒問題の整理(自分の問題を整理して考えましょう)

私は東京の桜ヶ丘記念病院という精神病院のアルコール病棟に3回入院しました。そこでは100日近い入院生活の最後、退院前に「酒歴」と言うものを書かされます。それは今までの自己の飲酒問題を整理し、文章化して入院患者すべての前で発表します。最初の入院の時は何を書いたら分からず、手書きで書きましたが、2度目、3度目の入院の時はすでに「酒歴」を書かされるのが分かっていたため、ARP(アルコール・リハビリテーション・プログラム)が始まった段階から室内作業の際にワープロで書くようになりました。

3 一日の生活を振り返る(飲酒中心の生活ではなかったですか?)

一日を振り返ってみると予想外に飲酒中心ではなかったと思います。どちらか言うとこの読書や執筆が一日のメインイベントになっています。飲酒以外にもいろいろやることはたくさんあります。

4 飲酒と断酒の良い点・悪い点(それぞれメリット・デメリットがあります)

飲酒は昔、私をストレスや過労、プレッシャーから解放してくれました。しかし、今ではただの嗜好品に過ぎません。飲酒の欠点といえば金がかかることくらいです。断酒については経済的には助かりますが、人間関係が希薄になってしまう面もあります。AAや断酒会という場もありますが、はっきり言って私は自助グループが苦手です。また、大阪に帰ってきて、大阪ダルクをやめたあと通った某クリニックのデイケアは私にとっては苦痛以外の何物でもなかった思い出があります。

5 将来を考える(何のために断酒しますか?)

私はこれがわかりません。何のために断酒するのか?健康的な生活?家族関係?社会的地位?

6 飲酒の引き金(再飲酒防止のために考えておきましょう)

私の飲酒問題は過労、ストレス、プレッシャーが主な原因でした。しかし、今はそうした問題は抱えていません。ただ、私の「生きづらさ」という根本的な問題は何も解決されていないことは実感しています。

7 社会的圧力(酒に誘われた時どうしますか?)

2001年にインドのダラムサラに行った時には流石に連続飲酒に陥ったら危ないと考えて、一切の飲酒の機会を断りました。パーティーがあってもジュースで十分でした。飲みたいという気持ちも不思議とありませんでした。ヒマラヤを見るには頭がクリアな方が断然良いです。日本に帰国して、気の許せる大阪に帰ってきてからは断酒はしていません。酒に誘われたら喜んでついて行くと思います。

8 再飲酒の予測と防止(あらかじめ考えておきましょう)

現在、再飲酒していますが、何も問題はありません。シアナマイド=抗酒剤は体が受け付けないので服用していないし、飲む必要も感じていません。

9 思考ストップ法(飲みたくなった時の対処法です)

飲みたくなったら飲む。それがストレスを溜めない方法だと思います。だからといってコントロール障害はありません。連続飲酒にも陥ることもないです。これができるなら断酒は必要ないように思います。

10 再飲酒時の対処法(万が一飲んでしまった後、病気を再発させないために)

コントロールできないアルコール依存症者なら断酒会やAAに行ってカミングアウトし、自分の気持ちを整理するのでしょうが、私は断酒会やAAが苦手です。入院中は強制的に通わされましたが、何の得にもならなかったように思います。人にもよるのでしょうが私には向いていませんでした。

11 ストレスに対処する(ストレスに強くなるには)

これが一番の問題かもしれません。未だにどうやったらストレスに強くなる方法がわからず、ストレスを抱えるとパニックになります。まずはストレスを溜めずにコツコツ少しずつストレスを発散することくらいしか考えられませんが、まだいい方法が見つかっていません。

12 怒りのコントロール(怒りは飲酒につながります)

仏教を勉強するようになってから怒らなくなったように思います。怒っている人を見たら可哀想に見えます。感情のコントロールの修行ができていないか、それをしようともしていない人なのでしょう。

13 楽しい活動を増やす(断酒によって増えた時間を有効に使いましょう)

若いころならクラブで踊るのが好きだったのですが、もう年なので、そんなに踊れないでしょう。それに、今のクラブシーンはかつての90年代のようにワクワクさせるものではなく、白けているように感じます。しかもドリンク1杯500~600円なので、お金の無駄以外の何物でもありません。

14 退院後の生活設計(断酒だけでは回復しません)

今のところ決まった生涯設計はしていません。普通のサラリーマンのように何歳で結婚して、何歳で子供が出来て、何歳でマイホームを買ってなどといった希望はもともと持ち合わせていませんでした。何事も出たとこ勝負で生きてきた気がします。筋書きが決まった人生なんておもしろくないですよね?

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